最近、同人界隈で「無断転載するな」と主張する人が増えていますね。
ネットに作品を発表することが普通のことになって、
ネットにアップされた情報を消費することも普通になってしまった
この時代だからこそ多いトラブルだと思います。
創作活動をしている人の中で有名な人たちはよく被害にあっているようです。
特に印象的なのが
この方(pixivです)。
この方はネット上にアップした作品を勝手に印刷されて販売されてしまっていたことがあったそうです。とても衝撃的な出来事で、その事を説明している作品(記事)も沢山の人に注目されていました。そしてネット上での無断転載も多いとのことで、また”無断転載やめて”という趣旨の作品をアップされていました。
でも読んでみると、
引用と無断転載を混同しているように感じました…。
と、思いましたがよく考えてみると、
無断転載という言葉、存在自体が混同を招きやすいものだということに気づきました。
無断転載とは何なのか
絵や漫画、文章などの作品を作者に無断で転載すること。
でもこの言葉って、インターネットに作品をアップする人々やそれを見るのが好きな人々たち、所謂ヲタクの人たちしか使わない言葉ではありませんか?
画像や文章をネット上にアップロードしてそれが自分の知らないうちに他のサイトに転載されてしまう。
このことに対して、好感情を抱く人と悪感情を抱く人がいます。
前者は自分の作品がより多くの人に見て貰えるという喜びや、転載されるということは自分の作品が評価された事だと判断できるため。
後者は自分の作品が何か悪いことに使われるのでないかという不安や、もし自分の作品を「私が作ったものです」と嘘をついて横取りされたら許せないという気持ちから来るものではないかと思います。
法律としては、作者名や出典元(どこに載っていたものか)を明記し、転載元コンテンツと転載したコンテンツの整合性があれば作者(または著作権所有者)に許可を得ずとも転載してもよいとされています。
例えば、とあるブログでAという作品のBというキャラクターについての記事を書いたとします。そこでBを描いたイラストをネット検索で探し、見つけたイラストを掲載しているサイト(又はウェブサービス)や作者が
転載を禁止していなければ、作者名明記と出典元へのリンクを行えばブログにそのイラストを載せても良いということになります。
無断転載だと騒がれているトラブルの中の一部には、こういった合法的な転載もあります。
許可を得ずに転載することは良くないことだと勘違いしている人が多いからです。
無断転載とは、引用のルールを詳しく知らない人が同人界特有の、ヲタクや同人を好む人以外の目に触れる場所に作品を出すべきではないという暗黙のルールに引っ張られて生れた不確かな存在なのではないかと思います。
そしてその無断転載というトラブルがよく話題になるのは、最近の炎上騒ぎに見られる”悪い奴は叩かれて当然”、”悪い奴を責めることには問題がない”という考えで必要以上に第三者が騒ぎ立てる傾向に影響されている気がしますね。
無断転載をする人は何を考えているのか
無断転載という存在とそれを嫌う人については↑の通りです。
それでは次に、無断転載をする人について考えてみます。
他者が生み出した作品を紹介するときに画像を乗せてしまい結果的に無断転載になってしまう、他人の作品をSNSなどにアップし自分が描いたと嘘をつく、コンテンツの趣旨に合った画像を適当に探して挿絵や素材のような感覚で載せてしまう。など。
必要があると思ったからそうするのでしょうが、無断転載がされる一番の理由は
「機能として可能だから」+「他の人もやっているから」
だと思います。心のどこかで
これはやっちゃいけないんじゃないかな…と思っても
他にやっている人がいて、機能としてできてしまうのなら悪い事じゃないんだと
思ってしまうのではないでしょうか。
引用と無断転載の明確な違い
引用には守るべきルールがあります。
それは引用したものと転載されるコンテンツとの整合性があるかどうか、また出典を明記しているかという二つです。
この二つの条件をクリアしていれば無断転載にならないのか、いくらでも転載していいのかという訳ではなく、作品の作者または著作権保持者が「転載するな、引用も駄目」と明記していた場合はどんなに正しい引用であってもそれは禁止行為となるわけです。
逆に言うと、その注意書きをしてなければ引用として法律的に認められた行為で責められる謂れはないわけです。
なので無断転載だろうが引用だろうが自分以外の人に自分の作品をアップしてほしくない時は
「転載するな」
「引用も駄目」
「許可を求められても了承することはない。」
の三文を作品のキャプション、またはアカウントのプロフィールに書いておかなければいけないということですね。
そしてLINEでも無断転載になるといわれていましたが、これは転載というより”複製”という著作権法違反行為になります。
無断転載はその仕組みや存在をあまり理解せず、悪気なくやっている人が多いと言いますが、それを注意する側、被害者だとされる側もあまり仕組みを理解できていないのが現状だと思います。